公示価格が適当な価格を示しているとはいえない

2011.10.07

「評価地点数」は公示地点と基準地点を両方合わせても全国でわずかに六万件弱、共通化が進むほど地点数は減るので、全国を覆う点の網目が粗くなる。しかも評価地点が必ずしも鑑定したい対象物件(金融機関や不動産の売手・買手が実際に価格を知りたい物件)の近隣にあるとは限らない。また、公示価格、基準地価格は、価格そのものが国の課税、用地買収、地価行政と密接に関係するので、年により政策的な価格になりがちである。それに、地価の暴騰暴落で政府の地価政策に非離が起こるのを避けるため、実は公示地点(基準地点)はしばしば変更され、連続性が排除されていることは、意外に知られていない事実である。また、公示地価は、毎年一月一日現在の価格を三月下旬に発表するので、利用するときには古くなっているというタイムラグも問題になってくる。公示地価は、実は国や自治体から依頼された不動産鑑定士が過去一年の不助産収引資料を基に決めているのだが、鑑定士が三月下旬の発表のために法務局の出張所などで資料を収集するのは前年の一〇月から一二月頃、収集される資料は前々年の一一月から前年の一〇月までの一年間の物件の売買状況なのである。ただし、ここでわかるのは所有権の移動のみで、後に述べるように価格自体は物件の新規の所有者へのアンケート調査で収集する。つまり、公示価格は、発表の時点から最長二年半前の市場動向を示した価格なのである。ユーザーの利用する時点が公示価格発表直後であれば、その価格は半年〜一年半前の市場価格、翌年分発表の直前であれば一年半〜二年半前の市場価格がベースになっている。市場価格の変動の激しい時期には、適当な価格を示しているとはいえないのだ。ただ、この公示された価格など(地番ならびに住居表示、一平方メートル当たり価恪、地位、形状など一〇項目)を知る方法はとても簡単だ。国土交通省がインターネットで提供しており、電話料以外は無料で容易に検索できる。また、この全国の地点の価格資料集を一万円前後で本屋で購入することもできる。

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