「あなたにとって、住まいの中で、どこが1番大切ですか」という質問に、ご主人は「外観」、奥様は「ダイニングキッチンやリビングルーム」、そして子どもはもちろん「子ども部屋」と答えるケースか多い。「夫婦の寝室」が1番大事と答える人は、おそらくいないのではないでしょうか。夫婦の寝室が独立した部屋として登場したのは、日本の住宅史から見てほんの50数年前。公営住宅標準設計5−C型という集合住宅においてです。この5−C型の特徴のひとつはダイニングキッチンで、それまでの卓袱台から、椅子とテーブルを囲んでの食事という、極めて革新的な変化をもたらす部屋でしたが、それ以上に「食」と「寝」を空間的に分離した間取りが、日本人の生活習慣を大きく変えたのです。
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それまでは確かに、機能別のしつらえもプライバシーもあまりありませんでしたが、住まいの中に占める位置や広さは、現代の個室に較べると当然勝っていました。さらに、おじいちゃんやおばあちゃんが同居していれば、その部屋は夫婦の部屋よりさらに広くよい位置にあって、床の間や縁側がついた寝室で、もちろん子ども部屋は1番狭く、兄弟一緒の部屋は珍しくあませんでした。