スクラップ&ビルドの猛攻が押し寄せる

2011.11.18

千里でデベロッパーや建設業者が目まぐるしく策動していたころ、東京の「霞が関」では規制改革派の最右翼、森ビルの社長が、老朽マンションを「金のなる木」に変えようと、各方面に強烈な圧力をかけていた。近い将来、百万戸に達する築後三〇年超のマンションを一戸二千万円で再建すれば、市場規模は「一一〇兆円」。新居から派生する家具、家電、クルマの買い替えなどを見込めば膨大なマーケットが生まれる。公共事業の削減で、不動産、建設業界の利益は小さくなっている。

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マンション事業は希望の星だった。一刻も早く、手を打っておきたい。森ビルの社長は、オリックス会長を議長とする「総合規制改革会議」のメンバーだ。規制改革会議は、小泉政権の参謀兼実行部隊として「都市再生」という名のもとに再開発を推進していた。小泉純一郎が首相就任後にぶち上げた「都市再生」は、バブル崩壊後の不良債権処理のための「緊急経済対策」に位置づけられている。土地の有効活用、流動化を掲げて都市に建設資金を集中豪雨のように投入した。そのために都心の容積率は青天井とされ、超高層ビルが林立する。開発利益が一時的に膨張するから金融機関は不良債権を吐き出す。都市全体を「壊して、建てる」スクラップ&ビルドの潮流が覆った。この流れは、法人の法改正や利用の変直にとどまらず、主要の街と建築物の将来に強い縛りをかけている。マンションも例外ではなかった。都市再生に重きを置く経済効率主義は、建て替え問題にとどまらず、管理組合のあり方や維持管理の手法、共同体の内容をも侵食していくのである。千里のケースは特殊ではない。あらゆるマンションに再開発の推進に伴う制度変更の縛りがかかっている。